2026.07.06 日常

「フリーランスは弱い立場」なのか?独立3ヶ月目に考えた、外部だから出せる価値

「一緒に仕事したいけど、フリーランスには依頼できないんだよね」

飲み会の席で、そう言われたことがあります。

最初に思ったのは「あー、そうだよな」。
悔しいというより、納得。

例えばフリーランスのセキュリティ意識は、人によって差があるだろうと容易に想像できる。働き方も多様。これは会社側からすれば、管理が大変でしょう。法人という枠がない相手に仕事を出すのは、それなりにリスク。

でも、じゃあ私は、どういう立ち位置で価値を出していけばいいんだろう?

今年の5月に独立して、フリーランス3ヶ月目。モヤモヤと考えることが増えてきました。
そこで新卒時代からの友人であり、業務委託経験の長い榎本知史くんと、Xスペースで雑談企画を始めてみました。

タイトルは「社会人のためのソクラテス対話」

社会人になると、仕事や人生の話を深く語れる場ってなかなかないよね、という動機です。
その第1回に私が持ち込んだテーマが、これでした。

「フリーランスって、弱い立場じゃない?」

フリーランスは弱い立場なのか?

たとえば私が家を買ったとき、「あ、社会はかなり正社員前提でできているんだな」と感じる場面がありました。

住宅ローンがその典型です。
フリーランスになると審査に通りづらい、という話は実際に聞きます。
住宅ローンだけでなく、賃貸の審査に通らなかったという話も。
仕事をしていても、収入があっても、「会社に所属しているかどうか」で信用の見え方が変わる。

それはまあそうだろうな、と思う一方で、なかなか重たい現実でもあります。

垣根は、思ったより曖昧になっている

榎本くんは、会社を経営している側でもあります。

「経営側からすると、正社員で雇用するのって結構リスク。ちょっと合わないなって人でも、なかなか解雇できない。だから、まず業務委託期間を設けてマッチングを探ってからお願いしたい、っていうケースは結構ある」

一方でフリーランスから正社員に戻る人が増えているというニュースも聞きます。令和4年に経産省が出した「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~ 人材版伊藤レポート2.0~」でも、会社は週5フルタイムの正社員だけで囲うのではなく、多様な働き方を許容したほうがいいという方向性が示されている、という話が共有されました。

デジタル人材をはじめ、人材獲得競争が激しくなる中で、従前のように「週5日フルタイム」で求める人材を獲得することは難しいため、既存の雇用形態に過度にとらわれず、プロジェクトベースで週2日にわたって副業人材を受け入れるなど、多様な雇用形態を活用する。

──「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~ 人材版伊藤レポート2.0~」より引用

正社員か、フリーランスか。その区分け自体が、思っていたほど本質ではないのかもしれない。

私自身、Webマーケの領域からはみ出して、マネジメントなどのお手伝いをさせてもらうことがあります。責任の範囲だけ見れば、「正社員と何が違うの?」という部分はあります。

「これ、自分じゃないですね」と言えるか

面白かったのが、榎本くんの仕事への入り方。

「契約の前に必ずヒアリングして、自分以外の人のほうがマッチする仕事なら『あ、これ自分じゃないですね』ってはっきり言う。入った後も、正社員を雇って任せるべき内容だと判断した場合には、『自分の契約はやめたほうがいい、正社員を採るべき』って」

「え、契約中でも?」

「だって、相手が『これが課題です』って設定してくれてても、実際は全然違う課題だったりする。課題をちゃんと課題として言える会社って、ほぼほぼなくて。90%くらいないかも」

私の頭にはこの絵が浮かんでいました。

「Tree swing cartoon」という名前の漫画。Wikipediaより引用。

それぞれの思う「これが課題だ」「だから解決策はこうだ」というものが、
真に問題解決に向かうものかどうかを判断するのは難しい。

だから雇用形態ベースで考えるのではなく、「こういう課題がありますよね、解決しましょう」という課題ベースで提案し、企業の中に入る。課題が解決したら、双方円満に契約終了。
これができるのは、確かにフリーランスの良さです。

同時に、耳が痛い話でもありました。「このスキルがあるから切り売りします」という姿勢だと、どこまでいっても人月商売から抜けられない。課題を上流から設定できるかどうかが、分かれ目になる。

う〜ん。難しいな〜!笑

「ズケズケ言ってくれて助かる」

いちばん刺さったのは、この話。

榎本くんいわく、あえて正社員にならない方がいいケースがある。社内政治が強い組織に正社員として入ると、評価制度の力学に飲み込まれて、指摘すべき課題にもイエスマンになってしまう。みんな分かっているのに、誰も口に出せない問題(いわゆる「エレファント・イン・ザ・ルーム」)は、外部の第三者だから指摘できることがある。

これは、私にも思い当たる体験があります。
独立してから、以前一緒に働いていた方と飲み会に行ったときのこと。

「あの頃は、ズケズケ言ってくれて助かった。良い意味で、無責任な第三者だからこそ言えることってあるよね」

びっくりしました。

私はそもそもズケズケ言っているつもりはありません。
自分で「ズケズケ言ったな……」と思うこともあるけれど、後から恥ずかしくなるタイプ。
でも、

社内の誰も言えないことを言えないなら、外部の人間に価値はないのかもしれない。

なんでもズケズケ言えばいいわけではない。「これを解決しないと根本の問題が進まない」というエレファント級の話なら言う。どうでもいい小さなことなら、言わない。その見極め込みで、はっきり言うべきことを言うから、価値がある。

榎本くんとの対話を通じて、「弱い立場かどうか」という問いの立て方自体が少し雑なのかもしれない、という着地に至りました。

社会的信用という意味では、フリーランスはたしかに弱い。
でも、社内の力学から少し外れた場所にいるからこそ、出せる価値もある。

とはいえ、問いは無限に浮かんでくる

……と、きれいにまとめたいところですが、現実のフリーランス3ヶ月目はそんなに格好よくありません。

7月に入って「6月の会計処理をちゃんと整理しよう」と思ったら、まる一日の仕事になりました。バックオフィスも全部自分。その上でお客さまとの向き合いがある。さらに言うと、数年後も楽しく働ける未来のためには、スキルや事業に投資する時間・お金も確保したほうがいい。

スキルの切り売りって、いつまで続けられるんだろう。これは、どのくらい自分のやりたいことなんだろう。
問いが無限に浮かんできます。

とはいえ、
かっこいい外部パートナー像を語る前に、領収書を整理しないといけない。
そういう地味な作業も含めて、自分で働き方を作っている感じがします。

まだ3ヶ月目。
今は、自分なりのフリーランス像を作っている途中です。とてもワクワクする、よい時間です。

一人で仕事をしているとどうしても孤独を感じることもあって、榎本くんとのXスペースは週1くらいで続けていく予定です。
「こういうテーマで話してほしい」などリクエストがあれば、ぜひXで教えてください!

↓今回のスペースの録音はこちらから。


← 読み物の一覧へ